Cosas cosas32

2024年の写真から

あばよ相棒

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オイラは決して高価ではないけれど、しっかり者ではたらき者だ。いろいろな場所で、案外「かわいい」「ステキ」と言われてきた。
アンタの家に届いたとき、アンタはオイラをナデナデして「いい旅しようなぁ」と、ワインで酔いながらうかれて言ってたのも、いい思い出だ。
この前の長い旅では、なんかインテリみたいなきどった全黒のヤツが、オイラたちの仲間に加わったけれど、まあいいチームワークだった。だれも行方不明になることなくたどり着いた。冒険の旅だったよなぁ。
だから次の旅も、おなじメンバーでガラガラと行くもんだと思うよなぁ。
先日、いきなりオイラと一緒に写真を撮って、車輪の回りも全部ふいてキレイにしたアンタは、いきなりオイラを郵便局に連れて行った。
なるほど。アンタは、間もなく遠くに学びに行くクラスメートの相棒がこわれてしまって困っているのを聞いて、オイラはそのクラスメートの相棒にと送られたのか。
もちろん相棒の貸し借りではない、新しいチームへの移籍として。
ビックリしたけれど、到着したオイラをクラスメートはしっかり見て、細かな傷も全部この移動の間についたものではないかとアンタに確認していた。そんな心配をアンタはしてくれたことはなかったからうれしかった。
そしてクラスメートは「かわいいね」と言ってくれたのさ。
だからだいじょうぶ。このオモロいクラスメートと、アンタとは見たことのない景色を見てくるよ。
新しい相棒と、一緒にガラガラしてくるよ。
アンタも、あの黒いマジメなヤツとまた新しい景色を見に行くんだろ。
おたがい見たことがない景色を見て、更新しよう。旅の思い出を。
そして、おたがい元気だったら、いつかどこかの空港の荷物受け取り所で会ったりするかもしれない。
空はつづいている。そこまで行くことができる。
だったら行こう。
一緒に冒険したあの毎日を、ときどき思い出してニヤニヤしよう。
あばよ相棒。
2024年9月記